「デジタル測量の未来を切り拓くイノベーター、Harley氏に聞く:SIMPLE-POINTの創造とビジョン」
クラウドベースの点群データ解析プラットフォーム、Simple Pointをリリースすることに成功したのが、今回お話を伺ったHarley(ハーレー)さんです。そんなHarleyさんですが、いったいどのようにしてプロジェクトを成功に導いたのか。その秘訣を伺いました。
--------------なぜシンプルポイントを作ったのですか?
「誰もが三次元データの解析をもっと楽に、簡単に欲しい点群や成果物を手にすることできるサービスを作りたい。」そんな一言からプロジェクトは静かにスタートしました。Simple-Pointの開発には、様々な異なる案件の自動見積もり依頼、依頼内容の注文書、請求書を自動的に生成する機能の実装を計画しました。この開発はプログラムのエラーやバグの増加、修正やデバッグに時間がかかる事が予想されます。そのため開発後の更新やメンテナンスのしやすさを考慮した設計が最も重要でした。私はまず、エラーやバグを早期に発見してすぐに改善できる優れたプラットフォームの設計を作ることからスタートしたのです。
--------------制作中にどのような困難に直面しましたか?
設計書を作成した後はフロントエンド開発からバックエンドの開発まで、全てのコーディングを一人で行いました。(私はスタートアップの働き方に慣れていますがこれは大変な作業でした)リリース時期は先に決まっていた為、スピードと質をどちらも求められ、重要な局面では夜遅くまで取り組むことも何度も有りました。 それでも私はSimple-pointというプラットフォーム開発をゼロから完璧な状態で作り上げる。それは私のエンジニアとしての技術を示す機会とも考えて情熱を注ぎました。 同じようなプロジェクトに取り組むエンジニア仲間へのアドバイスとしては、開発の設計段階であらゆる可能性を並べて可能な限り詳細部分についてのフィードバックをもらい、より良い製品を創り上げるための議論を惜しまないことです。その際にタスクを細分化し、達成可能なマイルストーンを設定し、影響度と複雑さに基づいて機能に優先順位をつけることも重要な観点です。可能な限り求められている内容を受け入れ、必要であれば大きな仕様変更にも対応する必要があります。そして開発中に厳しい締切や大幅な改善に直面してもコーディングの品質を維持する事そして何よりエンジニアのコミットメントがプロジェクトの長期的な成功には不可欠です。
----------SIMPLE-POINTにはどのような特徴がありますか?
Simple-Pointの最大の特徴は、作業依頼、作業指示管理、契約書類のやり取り、チャット機能を使用した細かな指示、これらを実現したことでこれまでのBtoB間のデータ解析依頼の方法を、全ての工程でシームレスに可能にしたことです。 オーストラリアの「Spacesium」と提携したことで3DCADソフトウェアを必要とせずにブラウザ上で点群データをアップロードして、3DCADとして観覧することができます。共有リンクを生成して第三者にデータのビューアを共有することもできます。
--------------Simple-pointの開発で最も困難だったことを教えてください。それをどのようにして乗り越えましたか?
このプロジェクトの私の最大の目標は今までに無い効率的な解析依頼システムを作ることでした。 特に価格テーブルの作成には苦労しました。 通常は人が見積もりを作成するような沢山の項目を全て自動化するために 沢山のパラメーターを数値化する必要があったからです。 これについては何度も打ち合わせを重ねて価格表を作成することで全ての変数をシステムに統合することに成功しました。 それ以外にも点群データは非常に容量が大きい(小さいものでも10GB以上)ため大容量データのアップロードについても大きな課題に直面しました。 今までにこれほどの容量のデータをクラウドで扱った経験はありませんでしたが、私はAWSにも精通していた為、解決策としてS3バケット・ストレージを導入することにしました。 このときもバックエンドのパラメーター調整に苦労しましたが、 AWSのストレージは非常に優れたクラウドストレージであるため大規模な点群データであってもクラウド上でスムーズに管理できるようになりました。 プロジェクトが進むにつれて、チームメンバーが増え、新しい優秀な開発者と一緒に仕事を共にするようになると、チーム内のコミュニケーションを重要視してこれまで作成してきた内容やシステムの理解度を全員で深めるために時間を使いました。その結果、Simple-Pointの開発中に提示された課題のほぼ全てをチーム全員でうまく乗り切ることができました。結果的にシンプルで優れた設計、今後のアップデートにも柔軟に対応できるように設計された、素晴らしいクラウドシステムを開発できたと感じています。 一貫したユーザー中心のアプローチをチーム一丸となってできたことがSimple-Pointの品質と使いやすさを向上させた要因だと思います。
--------------今後の開発計画について教えてください。
点群データの解析は海外でもニーズが高いため、Simple-Pointを海外でサービス展開していく予定です。 日本国内の建設業界、測量業界の品質は世界でも非常に高いため、日本で成功すれば海外にも自身をもってサービス展開できると確信しています。 また、3Dビューアをプラットフォーム内に統合することで、点群ビューアを更に素早く起動できるようにする予定です。